弁護士にとって、刑事事件の弁護を引き受けることは、弁護士冥利に尽きることだといえるでしょう。刑事事件の弁護は、人一人の人生がかかっているともいえます。たとえ弁護する相手が殺人犯の犯人でも、戦う相手は検察組織という国家権力に立ち向かうということになります。そんな強大な国家権力に対して、時には勝つこともあります。刑事事件が担当したくて弁護士になりたかったという人も中にはたくさんいるのではないでしょうか。しかし、その実態は刑事事件のみを担当する弁護士は極まれだとも言えます。刑事事件の報酬金は低額であるために、刑事事件をできるだけ担当したいという弁護士であっても、担当する案件の七割は民事事件ということが多いのだそうです。その原因は、国選弁護人制度にあると言われています。刑事事件を起こして起訴された被告人に、依頼したい弁護士がいなければ、裁判所が適任の弁護士を弁護士会を通じてあてがうことになるのですが、これを国選弁護人制度と呼びます。国が選ぶ弁護人のことを指します。国選弁護の報酬金額は民事事件よりも低額なのです。刑事事件の内容によっては、一か月二か月と納期を迫られる場合も多いのだそうで、時間も割かれてしまうことも多いのです。もちろん、中にはこの国選弁護人制度を利用することなく、自分で指名した弁護士を雇うこともあります。しかし一般人はなかなか弁護士の知り合い等いませんよね。また、弁護士を雇える収入があるかどうかも人によってそれぞれでしょう。これらのことが、弁護士が刑事事件を渇望していてもなかなか刑事事件だけを専門とできない理由かもしれません。